その226:環境先進国ドイツ(都市の交通・バス)

「環境先進国ドイツ」という観点で更に驚いたのは、休日のバスの運営。

平日は郊外から都心へ出勤、通勤する人が多く、郊外―都心間は需要がある。しかし、休日には需要が愕然と減る。そこで、休日に郊外―都心間のバスは走っていない。

「それでは、休日に郊外から都心に行きたい利用者はどうするのか?」という疑問が浮かぶ。「放置されるのか!?」と思いきや、なんと「タクシーでお迎え」となるのである。

利用者はバス会社に電話をいれ「利用したいバス停名、時間、人数、名前」を伝える。そうすると指定したバス停、時間にタクシーが迎えに来て、休日でもバスが走っているバス停まで連れて行ってくれる。降車する前に、タクシーの運転手から領収書が渡されサインをするだけ。利用料金は、後でタクシー会社がバス会社に請求するのである。

バス会社にとっては、「数人の利用者がいるかいないか」という中で、わざわざ郊外(といっても都心から5キロ程の距離)まで走るのでは、人件費やガソリン代といった面から、採算が合わないらしく、それなら、数人分のタクシー代を払った方が割が合うらしい。

また、タクシーが下ろしたバス停からはバスを利用することになる為、そこから客や収益を得ることができる。一方、利用者としては、電話をかける手間はあるが、「交通手段が無くなる」という不便を感じずにすむ。タクシー会社も利益を得ることができる。

「Win-Winの関係」というよりも、新たな「Win」(タクシー会社)も生まれるので「Win-Win-Winな関係」である。

結果として無駄に郊外までバスを走らせる排出ガスとタクシーが出す排出ガス量の面から、(多少ではあるが)環境にも配慮されたシステムとなっている。

バス会社にタクシー会社、利用者の連結感を感じるこのシステム。日本で導入することは可能だろうか。

そもそも、日本では、平日は「働きに都心へ」、休日は「遊びに都心へ」という人が多く、全く同様のシステムが必要とされる地域や状況は少ないのかもしれない。

ただ、「1つの概念や規定、ライフスタイルにこだわらない」、「新しいことを試みてみる」、「無駄を省く」という考え方をもう少し取り入れてみることは出来るのかもしれない。

P.S.ということで、生まれて初めてタクシーに無賃で乗りました。