牛は約10ヶ月周期で出産するとのこと。
そこで約75頭の牛を飼育していると、約1~2週毎にいずれかの牛が子牛を出産します。
妊娠している母牛は、出産するであろう数週間前から乳牛とは異なる柵に移動させます。その間、生産する乳の量も減少するので、搾乳はしません。ちなみに、出産直後の乳には、たくさんの栄養が含まれていて、生まれたての子牛がその乳を飲むことはとても大切です。
大半の母牛はお産の時が来ると自ら牧場へ足を運び、体を横にして出産します。
早朝、日中、深夜…、時間帯は決まっていません。また、出産や子牛のケアを自らでこなす母牛がいれば、出産にてこずったり、子牛のケアを一切しない母牛もいます。
時には、朝起きて牧場を見渡すと既に出産を終えた母牛と4本足で立っている子牛の姿を見かけることがあります。
また時には、夜遅くにお産が始まったもののスムーズに出産できない母牛を助けるため、外からお腹の中にいる子牛の目に紐をかけ引っ張り出すこともあります。
子牛のケアをしない母牛のかわりに、子牛を小屋まで運んだり、ワラで体を拭いてあげたり、乳を与えたりすることもあります。
お産をする母牛を見守ったり、母牛と子牛が触れ合う姿を見たりする場面には、何度立ち会っても感動させられます。母になるということ、子として生まれること、生命の営み…、「命のバトン」の意味を再認識させられる瞬間です。