生き物のレクチャーの大半が浜辺で行われる。
まずは、実際の生き物を観るために、波打ち際で蟹を探す。波が引いた際に砂から泡が出ている箇所を掘るのである。子どもたちは、穴を探したり、砂を掘ったり、波から逃れたりといった作業を「きゃー。きゃー。」と言いながら、楽しんでいる。しかし、肝心の蟹は、普段なら比較的容易に見つけられる筈なのだが、ここ数週間、見つけられていない。
実際に目にする機会が少ない海に生息する生き物。その大きさを子どもたちに理解してもらおうというレクチャー。浜辺に長いロープを伸ばして置き、各生き物の名前を挙げる。子どもたちは、その生き物の全長を予測して、実際にその長さの地点のロープに立つ。とても単純なレクチャーであるが、子どもたちは「我こそは正解したい」という思いから、とても積極的に参加する。
生き物の関係性(食物連鎖!?)を学ぶレクチャーでは、いくつかの生き物に子どもたちはなりすまし、「誰に食べられるか」、「誰を食べるか」について考え、それらの関係性を1本の紐でつないでみる。全ての生き物が1本の紐でつながっていることから、「もし1つの生き物が他の生き物を大量に消費したらどうなるか?」について、大量に消費する生き物を強く引っ張ることによって「バランスが崩れる」ということを体感することができる。また、「1つの生き物が消滅したら、その生き物とつながっている他の生き物にも影響を及ぼす」ということを見ることができる。
そして、レクチャーの終わりには、子どもたちが待望しているイカの解体が行われる。子どもたちは「すごーい!」、「いやだー!」と異なる言葉を発しながら、興味津々になって手を動かす。
自然界の中には、何億という種の生き物が生息している。各種は生き残るために異なる特徴を持っている。正直、私自身、今回初めて知ったことだが、鳥の中でもクチバシの形に違いがあること、そして、クチバシの形に適合した食物を獲得していることをご存知だろうか。
あるアクティビティでは、クチバシに見立てた各種道具、「洗濯ばさみ」、「スプーン」、「針金」を使って、地面にばらまかれた食物に見立てた「毛糸クズ」、「卵形ボール」、「木の棒」を取るゲームを行う。子どもたちは自分が持っている道具を工夫して、できるだけ多くの食べ物を取ろうとする。しかし、各道具にとって取りやすい食物があることに気付く。クチバシの形と食性の関係、当然のこと、単純なことなのかもしれないが、子どもたちはシミュレーションゲーム感覚で、楽しく学べる。
生き物を統括するスタッフは、「レクチャーを通して子どもたちには、1種1種の生き物にとって特殊な外観やスキルに注目するようになってほしい」とのこと。