その182:牛社会(仔牛争奪戦)

以前に牛社会において、頭を押し合って強さ比べをする習性について紹介した。

今回は仔牛の争奪戦について。

仔牛が誕生すると、牧場では「ムー」という牛の鳴き声が響くことがよくある。

「母牛の鳴き声か?」、「仔牛の鳴き声か?」…と思いきや、大抵は周りの牛たちが鳴いているのである。

どうやら牛には生まれたての仔牛に強く反応する習性があるらしい。

鳴き出したり、駆け寄ったり、中には仔牛の世話をしようとする牛までいる。

面倒見があり、強い母牛の場合、他の牛から仔牛を守り、世話をする。

ただ、面倒見がなかったり、弱い母牛の場合、仔牛は他の牛に奪われることがある。

出産を経験していないのに、我が子の様に体を舌で舐めたり、乳を飲ませたりするのである。

そんな牛社会。

とある朝、茶色いジャージーの乳牛の横に白黒のホレインスタインの仔牛が仲良く横たわっていた。「え?えええ???ありえない…。」と一瞬戸惑ってしまった。そして、牧場を見渡すと遠くで出産を終えたばかりのホレインスタインの乳牛が暢気に尻尾を振っている姿を見かけ、「ああ、お母さん業を放棄している…。」と微笑してしまった。

写真は1頭の仔牛に数十頭の牛が寄ってたかる光景。仔牛は、生まれた直後から王子様、お姫様気分を感じるのではないだろうか…。