その110:ワゴンの家

羊が飼われる草原と小川の間には、長さ7m程のワゴンがポツンと置かれている。数十年前まで電車の車両として使われていたもの。

将来的に室内に洗面台や薪ストーブを設置し、ベッドを置いて小さな家となる予定。その為には、痛んだ外装や内装を改装するだけでなく、新たに水道や電気を通したりする必要がある。

まずは外に張られた木製の壁を外す。ネジで留められた一枚一枚の板を外していくのである。錆びたネジを取り除くことは容易ではない。時には機械を用いて、鉄製のネジを切る必要がある。またハンマーで木の壁を破壊する必要もある。

次に防水用のカバーで周囲を覆う。大きな一枚のカバーでワゴンを覆うのである。

それから、新たな木の板を貼り付ける。一枚一枚適当な大きさに切り、下部の高さを揃え貼り付ける。まずは釘で軽く打ちつけ、後にネジで固定させるのである。

貼り付けられた木をペンキで塗る必要もある。天気をうかがいながら、晴れの日に茶色いペンキを塗る。

ある程度、外装が改装されたら、電気のワイヤーを通したり、保温材を貼り付けたり、内装の作業に取り掛かる。発泡スチロール製の保温材を隙間の無いように適当な大きさに切り貼り付けていくのである。

取り掛かり始めてから数週間が経過した今もなお作業は続いている。

ワゴンの室内から窓を通して眺める小川の流れや木々、丘の景色、また聞こえてくる水の流れや鳥の声は心を落ち着かせる。完成が楽しみである。